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第665回 九十歳。何がめでたい

第665回 九十歳。何がめでたい令和六年七月(2024)立川 立川シネマシティ 一九七〇年、私が高校生のとき、『花はくれない』というTVドラマが好きで、毎週見ていた記憶がある。長門裕之が演じる若き日の佐藤紅緑が主人公。紅緑は戦前戦中に活躍し...
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第664回 勝手にふるえてろ

第664回 勝手にふるえてろ平成二十九年九月(2017)六本木 アスミックエース試写室 綿矢りさ原作のエキセントリックなラブコメディ。 会社の経理部で働くヒロイン江藤良香、二十代半ばまで男性と付き合った恋愛経験がまったくなく、それが密かな劣...
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第663回 デトロイト・メタル・シティ

第663回 デトロイト・メタル・シティ平成二十一年二月(2009)高田馬場 早稲田松竹 田舎から上京し、東京で大学生となった根岸崇一青年。おかっぱ頭でなよなよしながらギター抱えて、人々に夢を与えたいと、大学の軽音楽サークルに属し、路上で明る...
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第662回 転々

第662回 転々平成二十年十二月(2008)飯田橋 ギンレイホール オダギリジョーと三浦友和、どちらも若い頃から絵になる二枚目スターである。このふたりがどうしようもなく情けない駄目なふたりを演じるのだ。 竹村文哉は子供の頃に親に捨てられ天涯...
頼迅一郎(平野周)

第50回「秀吉と海賊大名 -海から見た戦国終焉 」(中公新書)

頼迅庵の新書・専門書ブックレビュー50「秀吉と海賊大名 -海から見た戦国終焉 」(藤田達生、中公新書) 「また、海賊か!」 取り上げるテーマについてそのようにお考えの方もあろうかと思います。 わたしの興味関心が、どうしてもそれを離れられない...
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第661回 青春ジャック 止められるか、俺たちを2

第661回 青春ジャック 止められるか、俺たちを2令和六年三月(2024)新宿 テアトル新宿 俳優井浦新が若松孝二監督を演じた『止められるか、俺たちを』に続く第二弾。ではあるが、続編というよりも独立した一本になっており、一九八〇年代の映画界...
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第660回 沈黙 —サイレンス—

第660回 沈黙 —サイレンス—平成二十八年十二月(2016)飯田橋 角川試写室 篠田正浩監督の日本映画『沈黙』から四十五年後に、マーティン・スコセッシ監督が同じ遠藤周作の原作を映画化した。アメリカ映画『沈黙 —サイレンス—』である。 篠田...
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第659回 沈黙

第659回 沈黙昭和四十六年十一月(1971)大阪 千日前 東宝敷島 江戸時代の初期、幕府はキリスト教を禁じた。外国人宣教師は国外へ追放され、改宗しない日本人信者は残酷な刑罰で処刑。そんな鎖国下、マカオから長崎にイエズス会の司祭がふたり上陸...
頼迅一郎(平野周)

第49回「闘諍と鎮魂の中世」(山川出版社)

頼迅庵の新書・専門書ブックレビュー49「闘諍と鎮魂の中世」(鈴木 哲、関 幸彦、山川出版社) 三国志の関羽を関帝廟で祀る中国など歴史上の敗者に対して同情を寄せる国は多い。だが、日本では特にその傾向が強いのではないでしょうか。 その理由は様々...
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第658回 薔薇の名前

第658回 薔薇の名前昭和六十二年十二月(1987)新宿歌舞伎町 シネマスクエアとうきゅう 東京創元社から翻訳が出たウンベルト・エーコの『薔薇の名前』上下二冊を読んだのは、映画公開から四年以上経っていた。ショーン・コネリー主演、ジャン=ジャ...