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第127回 昨日消えた男

第127回 昨日消えた男平成四年六月(1992)池袋 文芸坐2 私は遠山の金さんが好きだ。江戸の町奉行と長屋の遊び人が同じ人間、今ならさしずめ東京都知事と場末のアパートに住む無職の男が同一人物。ありえない設定であるが、だからこそ面白い。 若...
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第126回 水戸黄門漫遊記

第126回 水戸黄門漫遊記平成十五年五月(2003)池袋 新文芸坐  子供の頃から時代劇が好きだったが、学生時代に講談社から出ている文庫本の講談全集に出会い、真田十勇士、由井正雪、大岡越前、天一坊、水戸黄門、河内山、遠山の金さん、鼠小僧など...
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第125回 修羅

第125回 修羅昭和五十六年十一月(1981)池袋 文芸地下  四世鶴屋南北は忠臣蔵があまり好きではなかったのだろうか。有名な『東海道四谷怪談』の民谷伊右衛門は塩冶判官(史実の浅野内匠頭)の家臣でありながら、不義士の極悪人である。 同じ南北...
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第124回 薄桜記

第124回 薄桜記平成五年十一月(2003)池袋 新文芸坐  大映の若手、市川雷蔵と勝新太郎の共演。共に二十代後半、雷蔵ばかりか勝新までが、白塗りの二枚目として売り出していた頃で、主役の丹下典膳が市川雷蔵、堀部安兵衛が勝新太郎である。 元禄...
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第123回 血煙高田馬場

第123回 血煙高田馬場平成二年十月(1990)白金 迎賓館  テンポが非常にいい。昔の映画はこんなにも面白かったのだ。 忠臣蔵の義士のひとり堀部安兵衛の浪人時代のエピソード、有名な高田馬場の決闘を描いたもので、ストーリーは単純である。 喧...
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第122回 侍

第122回 侍平成二年九月(1990)池袋 文芸坐2  時代劇のスターといえば、私より上の世代なら、大河内傳次郎、片岡千恵蔵、嵐寛寿郎、阪東妻三郎、長谷川一夫、市川右太衛門といったところをあげるだろうが、私の世代になると、中村錦之助、市川雷...
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第121回 人情紙風船

第121回 人情紙風船平成四年六月(1992)早稲田 ACTミニシアター  映画がサイレントからトーキーに移行する昭和の初め、映画監督としてデビューし、次々と作品を発表して注目されながら、召集され戦地の中国で若くして戦病死した山中貞夫。その...
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第120回 無頼漢

第120回 無頼漢昭和五十三年十二月(1978)新橋 新橋第三劇場  江戸城に仕える御数寄屋坊主の河内山宗俊が悪党仲間と組んで悪事を働くピカレスク。御家人くずれの片岡直次郎、吉原の花魁三千歳、遊び人暗闇の丑松、浪人で剣客の金子市之丞、悪徳商...
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第119回 大江戸りびんぐでっど

第119回 大江戸りびんぐでっど平成二十二年九月(2010)五反田 イマジカ第二試写室  舞台の映画化というのは、以前から数多い。シェイクスピアからブロードウェイミュージカルまで、著名な人気作品はたいてい映画化されている。 だが、シネマ歌舞...
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第118回 マチェーテ

第118回 マチェーテ平成二十三年四月(2011)新橋 新橋文化  ダニー・トレホの名前は知らなくとも、一度見たら忘れられないその面構え、悪役に欠かせない顔である。 最初にトレホの印象が強く残ったのが『コンエアー』だった。囚人たちを飛行機で...