書評・コラム

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第696回 見える子ちゃん

第696回 見える子ちゃん令和七年六月(2025) 立川 シネマシティ 私は自分がさほど不信心とは思わないが、スピリチュアル系には興味がなく、宇宙人も超能力も大予言も霊感商法もまったく信じない。ところがフィクションは別で、出来のいいSFやフ...
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第695回 噂の二人

第695回 噂の二人平成五年七月(1993)銀座 銀座文化 リリアン・ヘルマンの戯曲『子供の時間』を読んだ時は、嘘つき少女のイメージが憎々しい悪意の塊であったのだが、実際に映画を観てみると、まだあどけない子供なのだ。なるほどそうかも知れない...
書評・コラム

書評|佐藤雫 『残光そこにありて』

佐藤雫 『残光そこにありて』 中央公論新社  間違いなく傑作です。今年度ナンバーワンです。これまでの作風から言って、今後の作家生命を左右する新たなステージを占う試金石になるだろうと思って読みました。この課題を見事にクリアーしました。 その要...
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第694回 ウィキッド ふたりの魔女

第694回 ウィキッド ふたりの魔女令和七年三月(2025)立川 シネマシティ ライマン・フランク・ボームの児童文学『オズの魔法使い』が出版されたのは十九世紀の最後の年、一九〇〇年だった。この本はベストセラーとなり、ボームによって続編が次々...
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番外編 シャーロック・ホームズ関連作品

シャーロック・ホームズの映画は無数にあります。コナン・ドイル存命中にすでにサイレント作品が作られていました。ただし、日本で劇場公開された作品は残念ながら非常に少ないです。映画館または試写室で私が観た作品のうち、今までこのシネコラムで紹介した...
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第693回 オーケストラ!

第693回 オーケストラ!平成二十二年五月(2010)銀座 シネスイッチ銀座 ソ連解体後のモスクワ。ボリショイ交響楽団の清掃員アンドレイ・フィリポフはもと天才的な主席指揮者として活躍し、世界的な名声も得ていたが、ブレジネフ政権下、ユダヤ人演...
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第692回 がんばれ!ベアーズ

第692回 がんばれ!ベアーズ昭和五十二年十一月(1977)大阪 天王寺 ステーションシネマ ウォルター・マッソーは喜劇俳優として高く評価されている。私は学生時代に『シャレード』『ハロー・ドーリー』『サブウェイ・パニック』など名画座で観たが...
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第691回 ペーパー・ムーン

第691回 ペーパー・ムーン昭和四十九年十一月(1974)神戸 三宮 ビック映劇 ライアン・オニールとテイタム・オニールの親子共演『ペーパー・ムーン』は、テイタムが最年少でアカデミー助演女優賞を受賞し、話題になった。 ピーター・ボグダノヴィ...
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第690回 死に損なった男

第690回 死に損なった男令和七年二月(2025)立川 シネマシティ 幽霊が登場して主人公に語りかけるコメディは、死んだ妻が夫の前に現れるノエル・カワードの『陽気な幽霊』をはじめとして、けっこう多い。が、縁もゆかりもない赤の他人が幽霊となっ...
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第689回 あばれ駕籠

第689回 あばれ駕籠令和七年二月(2025)阿佐ヶ谷 ラピュタ阿佐ヶ谷 NHKの時代劇『天下堂々』の前に放送された『天下御免』も名作で、江戸に出た平賀源内がたまたま知り合う長屋の町人新助、これが盗っ人の稲葉小僧だった。私はこの時代劇で稲葉...