シネコラム

シネコラム

第335回 陰獣

第335回 陰獣平成七年六月(1995)池袋 文芸坐2 昭和初期の雰囲気が漂う東京で、探偵小説家が自ら探偵役となって事件に迫る。原作は江戸川乱歩である。 寒川光一郎は売り出し中の探偵小説家。これがふとしたことで財界の大物、小山田六郎の夫人静...
シネコラム

第334回 ヤング≒アダルト

第334回 ヤング≒アダルト平成二十四年八月(2012)飯田橋 ギンレイホール ヤングアダルトというのは、子供と大人の中間、ティーンエイジャー向きの小説。そのヤングアダルトを執筆している三十七歳の女性メイビス。 かつては田舎町の学園の女王と...
シネコラム

第333回 恋愛小説家

第333回 恋愛小説家平成十年十月(1998)飯田橋 ギンレイホール こちらが挨拶しても、顔をそむけて返事もしない。相手かまわず悪態をついて周囲を不快にさせる。こんな人物とは顔を合わせたくないとだれしも思うだろう。中年で独身のメルヴィンは近...
シネコラム

第332回 ふたりのJ・T・リロイ

第332回 ふたりのJ・T・リロイ令和元年十二月(2019)六本木 アスミックエース試写室 母親から男娼になることを強要された薄幸の美少年J・T・リロイが書いた実録小説『サラ、神に背いた少年』がベストセラーとなる。 が、覆面作家として、本人...
シネコラム

第331回 ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密

第331回 ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密令和二年一月(2020)築地 松竹試写室 豪邸に住む高齢の大富豪が毒殺される。莫大な財産をだれが相続するのか。現場に乗り込み、家族ひとりひとりに事情を聴く探偵。みんな怪しい。そこで意外な犯人...
シネコラム

第330回 サーチャーズ2.0

第330回 サーチャーズ2.0平成二十年十一月(2008)新橋 TCC試写室 ハリウッド映画はつまらないから観ない。という人がいる。派手なアクション、内容はスカスカ、似たようなアイディアの大味な作品ばかり。たしかにそういうのもあるが、だから...
シネコラム

第329回 テキサス魂

第329回 テキサス魂昭和五十年六月(1975)大阪 中之島 SABホール ハリウッドの二大スター、ジェームズ・スチュアートとヘンリー・フォンダの共演。監督が『雨に唄えば』のジーン・ケリー。夢のような西部劇。その割には、あまり知られていない...
シネコラム

第328回 男の出発(たびだち)

第328回 男の出発(たびだち)昭和五十年七月(1975)大阪 中之島 SABホール 一九七〇年代の前半に観た忘れられない西部劇である。 ゲイリー・グライムスふんする少年ベンは母ひとり子ひとり。男らしいカウボーイに憧れ、ひそかに金を貯めて銃...
シネコラム

第327回 マカロニ・ウエスタン800発の銃弾

第327回 マカロニ・ウエスタン800発の銃弾平成十八年四月(2006)新橋 新橋文化 一九六〇年代、イタリアで量産された西部劇マカロニウエスタン。その撮影の多くはスペインで行われた。アンダルシア地方のアルメリアでは、かつてハリウッド大作な...
シネコラム

第326回 続・荒野の用心棒

第326回 続・荒野の用心棒令和元年十二月(2019)渋谷 映画美学校試写室 セルジオ・レオーネと並ぶマカロニウエスタンの名手、セルジオ・コルブッチ監督作品。日本タイトルは『続・荒野の用心棒』だが、クリント・イーストウッドの『荒野の用心棒』...