書評・コラム

シネコラム

第338回 落語娘

第338回 落語娘平成二十年九月(2008)新宿歌舞伎町 ミラノ3 呪いの落語。演じる落語家が次々に変死しているという事実。このだれもやらない落語に隠された魔力とは。ちょっと怪談仕立ての寄席話。 香須美は子どもの頃から落語が好きで、高校、大...
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第337回 ロング・キス・グッドナイト

第337回 ロング・キス・グッドナイト平成九年七月(1997)高田馬場 早稲田松竹 アクション版『心の旅路』である、と私は思う。平凡な主婦という設定のジーナ・デイビス。長身で派手で目立つデイビス、見た目はあまり平凡とも思えないが。 サマンサ...
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第336回 心の旅路

第336回 心の旅路平成六年四月(1994)銀座 銀座文化 一階がシネスイッチ銀座、二階が銀座文化劇場、二階ではいつも懐かしの名画を上映していた。しかも初公開時のパンフレットの復刻版まで販売されていて、タイムマシンで過去の映画館に来たような...
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第335回 陰獣

第335回 陰獣平成七年六月(1995)池袋 文芸坐2 昭和初期の雰囲気が漂う東京で、探偵小説家が自ら探偵役となって事件に迫る。原作は江戸川乱歩である。 寒川光一郎は売り出し中の探偵小説家。これがふとしたことで財界の大物、小山田六郎の夫人静...
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第334回 ヤング≒アダルト

第334回 ヤング≒アダルト平成二十四年八月(2012)飯田橋 ギンレイホール ヤングアダルトというのは、子供と大人の中間、ティーンエイジャー向きの小説。そのヤングアダルトを執筆している三十七歳の女性メイビス。 かつては田舎町の学園の女王と...
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第333回 恋愛小説家

第333回 恋愛小説家平成十年十月(1998)飯田橋 ギンレイホール こちらが挨拶しても、顔をそむけて返事もしない。相手かまわず悪態をついて周囲を不快にさせる。こんな人物とは顔を合わせたくないとだれしも思うだろう。中年で独身のメルヴィンは近...
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第332回 ふたりのJ・T・リロイ

第332回 ふたりのJ・T・リロイ令和元年十二月(2019)六本木 アスミックエース試写室 母親から男娼になることを強要された薄幸の美少年J・T・リロイが書いた実録小説『サラ、神に背いた少年』がベストセラーとなる。 が、覆面作家として、本人...
菊池仁

2019年極私的・偏愛的ベスト本 単行本編

各紙誌の年末風物詩でもある2019年時代小説ベストテンが出揃った。リストアップされた作品を見ると昨年の充実ぶりが伝わってくる。ここ三年、出版不況が嘘みたいな豊作続きである。 理由の第一は、上位を独占した川越宗一『熱源』(文藝春秋)、大島真寿...
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第331回 ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密

第331回 ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密令和二年一月(2020)築地 松竹試写室 豪邸に住む高齢の大富豪が毒殺される。莫大な財産をだれが相続するのか。現場に乗り込み、家族ひとりひとりに事情を聴く探偵。みんな怪しい。そこで意外な犯人...
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第330回 サーチャーズ2.0

第330回 サーチャーズ2.0平成二十年十一月(2008)新橋 TCC試写室 ハリウッド映画はつまらないから観ない。という人がいる。派手なアクション、内容はスカスカ、似たようなアイディアの大味な作品ばかり。たしかにそういうのもあるが、だから...