書評・コラム

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第300回 イヴの総て

第300回 イヴの総て平成二年十月(1990)池袋 文芸坐 シェイクスピア劇にも匹敵する完成度、計算されつくしたストーリー展開、善人も悪人もともに魅力ある登場人物、それを的確に演じる個性的な俳優たち。映画はこうでなければならない。 大女優が...
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第299回 御手洗薫の愛と死

第299回 御手洗薫の愛と死平成二十五年十一月(2013)銀座 東映試写室 私は映画ばかり観て暮らしているが、実のところ、本業は小説を書いている。売れてないけど。だから、小説家が主人公の映画は特に気になる。 吉行和子が主演の『御手洗薫の愛と...
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第298回 9人の翻訳家

第298回 9人の翻訳家令和元年十二月(2019)青山 ギャガ試写室 本が売れない時代になった。売れるのはごく一部のベストセラーのみ。となると、大手出版社は必ず売れる本だけを出そうとする。出版はビジネスなのだ。 世界的なベストセラー小説『デ...
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第297回 テリー・ギリアムのドン・キホーテ

第297回 テリー・ギリアムのドン・キホーテ令和元年十二月(2019)渋谷 ショウゲート試写室 何度も何度も挫折を繰り返し、ようやく完成した。テリー・ギリアムの見果てぬ夢『ドン・キホーテを殺した男』が。 スペインで『ドン・キホーテ』を撮影中...
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第296回 ロスト・イン・ラ・マンチャ

第296回 ロスト・イン・ラ・マンチャ平成十五年十二月(2003)池袋 新文芸坐 TVのモンティ・パイソンは英国BBCのお笑い番組で、オックスフォードとケンブリッジ出身の五人の秀才が自作自演で相当におふざけのギャグを演じていた。これにナンセ...
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第295回 アマデウス

第295回 アマデウス昭和六十年二月(1985)新宿 新宿ピカデリー ピーター・シェーファーの戯曲は、日本でもたくさん上演されていて、私は『アマデウス』の舞台版は映画化される前に池袋のサンシャイン劇場で観ている。昭和五十八年で、主演のサリエ...
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第294回 盲目のメロディ

第294回 盲目のメロディ令和元年十二月(2019)新宿 新宿ピカデリー 事前になんの予備知識もなく、こういう映画に出合うと、私はうれしくてたまらない。さあ、この先、いったいどうなるのだろう。わくわくしながら観て、最後に満足感を味わう。詳し...
雨宮由希夫

書評『梅と水仙』

書 名   『梅と水仙』著 者   植松三十里発行所   PHP研究所発行年月日 2020年1月14日定 価    ¥1800E 梅と水仙作者:植松 三十里出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2019/12/15メディア: 単行本  ...
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第293回 芳華

第293回 芳華令和二年一月(2020)西東京 保谷こもれびホール 一九七〇年代、文化大革命末期から中越戦争までを人民解放軍に属する芸術部門「文工団」を中心に描いた中国の現代史。美しくも切ない青春映画である。 最初、いきなり毛沢東や中国共産...
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第292回 ミッドナイト・イン・パリ

第292回 ミッドナイト・イン・パリ平成二十四年四月(2012)京橋 テアトル試写室 かつて、冷凍冬眠された現代の小市民が未来世界で目覚める『スリーパー』を自演したウディ・アレンだが、『ミッドナイト・イン・パリ』は『夜ごとの美女』を連想させ...