書評・コラム

シネコラム

第255回 悪党

第255回 悪党平成二十二年五月(2010)阿佐ヶ谷 ラピュタ阿佐ヶ谷 歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』では、元禄の赤穂事件を南北朝の世界に置き換えているので、足利尊氏の執事である高師直が、出雲の武将塩冶判官高貞の妻顔世御前に懸想して袖にされ、腹...
シネコラム

第254回 忠臣蔵外伝 四谷怪談

第254回 忠臣蔵外伝 四谷怪談平成六年十二月(1994)新宿 新宿松竹 歌舞伎通の人なら承知だろうが、四世鶴屋南北の『東海道四谷怪談』は『仮名手本忠臣蔵』の裏の世界を描いたパロディになっている。 江戸時代は芝居で史実を実名のまま描くことは...
シネコラム

第253回 サラリーマン忠臣蔵

第253回 サラリーマン忠臣蔵平成十三年六月(2001)京橋 フィルムセンター 東宝の社長シリーズに代表されるサラリーマン喜劇に忠臣蔵の筋書きをそのまま当てはめたコメディが『サラリーマン忠臣蔵』である。 時は現代。丸の内の朝の出勤風景は社長...
シネコラム

第252回 わんわん忠臣蔵

第252回 わんわん忠臣蔵昭和三十八年十二月(1963)大阪 八尾 八尾東映 私が最初に映画館で観た忠臣蔵がなんであったか、それはわからない。学齢に達する幼児の頃から、祖母に連れられてしょっちゅう映画館に通っていたのは憶えている。たいていは...
雨宮由希夫

書評『忠臣蔵の姫 阿久利』

書名『忠臣蔵の姫 阿久利』著者 佐々木裕一発売 小学館発行年月日  2019年12月14日定価  ¥1500E忠臣蔵の姫 阿久利作者:佐々木 裕一出版社/メーカー: 小学館発売日: 2019/12/09メディア: 単行本   大石内蔵助良雄...
シネコラム

第251回 決算!忠臣蔵

第251回 決算!忠臣蔵令和元年十月(2019)築地 松竹試写室 忠臣蔵はおそらくわが国ではもっとも有名な物語のひとつだろう。 元禄十四年、江戸城内で赤穂藩主浅野内匠頭が高家筆頭吉良上野介に斬りかかった傷害事件。内匠頭は即日切腹、赤穂浅野家...
シネコラム

第250回 探偵/スルース

第250回 探偵/スルース昭和四十八年十月(1973)大阪 梅田 北野シネマ  劇作家ピーター・シェーファーは実は双子で、しかも驚いたことに、双子のもうひとりアンソニー・シェーファーもまた劇作家なのだ。アガサ・クリスティ風の推理劇を書いてい...
シネコラム

第249回 フォロー・ミー

第249回 フォロー・ミー昭和四十九年四月(1974)大阪 中之島 SABホール 周防正行監督『Shall We ダンス』で、柄本明ふんする探偵の事務所に『フォロー・ミー』のポスターがさりげなく貼られていた。 ピーター・シェーファーの戯曲『...
シネコラム

第248回 ソルジャーボーイ

第248回 ソルジャーボーイ昭和四十七年十月(1972)大阪 難波 南街シネマ  私が高校生の時に観た『ソルジャーブルー』は騎兵隊によるインディアンの大虐殺を描いて、当時泥沼化していたベトナム戦争を批判しているが、後味は悪かった。 その翌年...
シネコラム

第247回 小さな巨人

第247回 小さな巨人昭和五十年七月(1975)大阪 中之島 SABホール 一九六〇年代末から七〇年代初期、マカロニウエスタンは別にしても、アメリカの西部劇にけっこう異色作が多かったように思う。反体制的なニューシネマの風潮も強く、タカ派のジ...