書評・コラム

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第199回 地上5センチの恋心

第199回 地上5センチの恋心平成二十年八月(2008)飯田橋 ギンレイホール  主人公オデット・トゥールモンドはデパートの化粧品売り場に勤める中年女性。十年前に夫を亡くし、成人した息子と娘とベルギーの小さなアパートでつつましく暮らしている...
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第198回 殿方ご免遊ばせ

第198回 殿方ご免遊ばせ平成二十二年十二月(2010)六本木 シネマート六本木  バルドーの主演作を初めて映画館で観たのは一九七〇年代の初め、『華麗なる対決』というフランス製のコメディ西部劇だった。マイケル・J・ポラードの保安官以外は、住...
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第197回 アメリ

第197回 アメリ平成十四年一月(2002)池袋 テアトル池袋  主人公のアメリは内気で不器用、周囲の人となかなかうまく溶け込めない。 彼女がある日、TVでダイアナ妃事故死のニュースを見て、びっくりしたとたん、化粧品の蓋が転がり、壁の隙間に...
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第196回 今さら言えない小さな秘密

第196回 今さら言えない小さな秘密令和元年八月(2019)築地 松竹試写室  なにを隠そう、私は子供の頃から自転車に乗れない。結婚して子供ができて、家族で公園などに遊びに行くとき、みんな自転車なのに、私ひとりが徒歩かバスだった。町ではけっ...
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第195回 フローズンタイム

第195回 フローズンタイム平成二十年八月(2008)高田馬場 早稲田松竹  時間の感覚は個人的なもので、実際に同じ時間を過ごしていても、楽しいとあっという間に過ぎてしまったり、退屈だとなかなか進まなかったりする。それが極端になると、この映...
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第194回 サロゲート

第194回 サロゲート平成二十二年二月(2010)新宿 新宿ピカデリー  テクノロジーの進歩した近未来、身障者用に人工の腕や足が開発される。脳からの信号で、実際の手足と同じように動かせるマシーン。それが進歩すると、今度は全身に活用。やがて戦...
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第193回 トゥルーマン・ショー

第193回 トゥルーマン・ショー平成十年十二月(1998)新宿 新宿ピカデリー1   このアイデアだけで観たくなった。 ひとりの赤ん坊が生まれる。名前はトゥルーマン。そして彼の主演するTVドラマ『トゥルーマン・ショー』が始まる。母親も父親も...
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第192回 マトリックス

第192回 マトリックス平成十一年九月(1999)錦糸町 楽天地シネマ1  この映画を観たあと、私は周囲を見回した。私が今、見ている景色、触ったり、音を聴いたり、食べたり飲んだり、人と会って話をしたり、それは本当のことなのか。 私は全然別の...
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第191回 トータルリコール

第191回 トータルリコール平成二年十二月(1990)新所沢 レッツシネパーク・レッド  フィリップ・K・ディックの短編が好きで、以前、ずいぶんと読んだものだ。 記憶にまつわる物語が多かったように思う。人間の記憶は曖昧であり、われわれは自分...
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第190回 ヒッチコック

第190回 ヒッチコック平成二十五年三月(2013)六本木 20世紀フォックス試写室 映画監督のアルフレッド・ヒッチコック、私は子供の頃からその容貌はよく知っていた。TVの『ヒッチコック劇場』で最初と最後に解説をするのがヒッチコックだったの...