書評・コラム

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第171回 翔んで埼玉

第171回 翔んで埼玉平成三十一年一月(2019)銀座 東映試写室  昔から落語や喜劇などで田舎を笑いものにする芸はよくあるが、演者が下手だと後味は悪い。 が、ここまで極端だと、それはもう地方に対する差別などという些末な感情を超越して、笑っ...
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第170回 リヴァプール、最後の恋

第170回 リヴァプール、最後の恋平成三十一年一月(2019)六本木 キノフィルム試写室  シェイクスピア映画ではないが、『ロミオとジュリエット』がちらりと出て来る実録もの。 一九七九年、イギリスで舞台俳優を目指す青年ピーターがひとりの女優...
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第169回 生きるべきか死ぬべきか

第169回 生きるべきか死ぬべきか平成元年七月(1989)渋谷 シネセゾン  第二次大戦中、ハリウッドではナチスを茶化すコメディ映画、チャップリンの『独裁者』やエルンスト・ルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』が作られていたが、日本はアメリカ...
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第168回 世にも憂鬱なハムレットたち

第168回 世にも憂鬱なハムレットたち平成八年十二月(1996)日比谷 シャンテシネ3  鳴かず飛ばずの俳優ジョーが心機一転、俳優生命を賭けて『ハムレット』に挑戦しようとする。渋るエージェントに頼み込んで、わずかな資金を出してもらい、オーデ...
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第167回 恋に落ちたシェイクスピア

第167回 恋に落ちたシェイクスピア平成十一年五月(1999)錦糸町 リッツ劇場  シェイクスピアの生没年は一五六四年から一六一六年で、実は私、他の人の生没年は知らなくとも、シェイクスピアだけは知っている。シェイクスピア劇には殺人場面がたく...
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第166回 ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ

第166回 ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ平成三年七月(1991)渋谷 シネマライズ渋谷  イギリスの劇作家トム・ストッパードに『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』という舞台劇がある。 デンマーク王が急死し、王弟クロー...
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第165回 炎の城

第165回 炎の城平成十四年十二月(2002)中野 中野武蔵野ホール  大久保にある東京グローブ座で市川染五郎主演の『葉武列土倭錦絵(はむれっとやまとのにしきえ)』を観たのは平成の初め頃だ。戯作者の仮名垣魯文によって翻案された歌舞伎版の『ハ...
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第164回 真夏の夜の夢

第164回 真夏の夜の夢平成十二年四月(2000)有楽町 スバル座  妖精の世界でオーベロン王が女王と仲違い、オーベロンは妖精パックに惚れ薬で女王をひどい目に合わせるよう命じる。 パックは森で芝居の稽古をしている職人たちを脅かし、機織りのボ...
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第163回 十二夜

第163回 十二夜平成十年八月(1998)飯田橋 ギンレイホール  シェイクスピアには男女の双子の子供があったそうだ。だからこの芝居を思いついたのだろうか。 双子が乗っている船が難破し、助かった妹ヴァイオラは男装し、縁あって貴族オーシーノ侯...
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第162回 ヴェニスの商人

第162回 ヴェニスの商人平成十七年十一月(2005)新宿 高島屋テアトルタイムズスクエア  水の都ヴェニスの商人アントーニオは親友バッサーニオの結婚資金を用立てるため、嫌われ者の高利貸しシャイロックから借金する。利息はいらないが、もしも期...