書評・コラム

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第131回 ちょんまげぷりん

第131回 ちょんまげぷりん平成二十三年一月(2011)目黒 目黒シネマ  時間SFの中でも私はタイムスリップものが大好きである。『ちょんまげぷりん』は江戸時代の武士が現代にタイムスリップする物語。 巣鴨に住むシングルマザー。会社勤めと子育...
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第130回 竜馬暗殺

第130回 竜馬暗殺昭和五十年九月(1975)京都 一乗寺 京一会館 原田芳雄といえば、七十年代の若者にとって、憧れのヒーローだった。反体制がかっこよかったあの時代、原田が演じるのはアナーキスト、やくざ、はみだし刑事、無頼の浪人や渡世人。映...
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第129回 切腹

第129回 切腹昭和五十年九月(1975)大阪 道頓堀 朝日座 江戸時代の初期、彦根藩井伊家の江戸屋敷を初老の浪人が訪ね、応対に出た武士に言う。自分は長らく浪人を続けているが、このまま惨めに朽ち果てるより、いっそ潔く腹を切って死にたい。そこ...
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第128回 八百万石に挑む男

第128回 八百万石に挑む男平成十三年六月(2001)京橋 フィルムセンター 『大岡政談』で有名な天一坊事件である。 賭場で銭をすった遊び人風の若者が、金の代わりにと短刀をぽんと投げる。賭場の用心棒赤川大膳がそれに目を止め、別室へ呼んで話を...
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第127回 昨日消えた男

第127回 昨日消えた男平成四年六月(1992)池袋 文芸坐2 私は遠山の金さんが好きだ。江戸の町奉行と長屋の遊び人が同じ人間、今ならさしずめ東京都知事と場末のアパートに住む無職の男が同一人物。ありえない設定であるが、だからこそ面白い。 若...
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第126回 水戸黄門漫遊記

第126回 水戸黄門漫遊記平成十五年五月(2003)池袋 新文芸坐  子供の頃から時代劇が好きだったが、学生時代に講談社から出ている文庫本の講談全集に出会い、真田十勇士、由井正雪、大岡越前、天一坊、水戸黄門、河内山、遠山の金さん、鼠小僧など...
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第125回 修羅

第125回 修羅昭和五十六年十一月(1981)池袋 文芸地下  四世鶴屋南北は忠臣蔵があまり好きではなかったのだろうか。有名な『東海道四谷怪談』の民谷伊右衛門は塩冶判官(史実の浅野内匠頭)の家臣でありながら、不義士の極悪人である。 同じ南北...
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第124回 薄桜記

第124回 薄桜記平成五年十一月(2003)池袋 新文芸坐  大映の若手、市川雷蔵と勝新太郎の共演。共に二十代後半、雷蔵ばかりか勝新までが、白塗りの二枚目として売り出していた頃で、主役の丹下典膳が市川雷蔵、堀部安兵衛が勝新太郎である。 元禄...
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第123回 血煙高田馬場

第123回 血煙高田馬場平成二年十月(1990)白金 迎賓館  テンポが非常にいい。昔の映画はこんなにも面白かったのだ。 忠臣蔵の義士のひとり堀部安兵衛の浪人時代のエピソード、有名な高田馬場の決闘を描いたもので、ストーリーは単純である。 喧...
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第122回 侍

第122回 侍平成二年九月(1990)池袋 文芸坐2  時代劇のスターといえば、私より上の世代なら、大河内傳次郎、片岡千恵蔵、嵐寛寿郎、阪東妻三郎、長谷川一夫、市川右太衛門といったところをあげるだろうが、私の世代になると、中村錦之助、市川雷...