第702回 DROP ドロップ
令和七年七月(2025)
立川 シネマシティ
だれもがスマホを持ち歩く現代。スマホはただの携帯電話ではなく、あらゆる情報が収集され蓄積された小型のパーソナルコンピュータでもある。それゆえ『スマホを落としただけなのに』のような凶悪犯罪の題材になったりもする。
五歳の息子と暮らす未亡人バイオレット。かつて夫のDVに悩まされ、今はDV相談センターのカウンセラーを勤めている。今日はマッチングアプリで知り合った男性との初デート。本人に会うのは初めて。落ち合う場所は高層ビルの三十八階にある高級レストラン。
少し遅れるとの連絡が相手からあり、バーでワインを飲んでいると、彼が現れて窓際の席へ移動。相手のヘンリーは感じのいいカメラマン。バイオレットの息子の世話は妹のジェンが見てくれているが、いつでも連絡が取れるようにテーブルにスマホを置く。
楽しい会話が始まると、急にスマホに不審な画像とメッセージ。気づいたヘンリーが画像を見て言う。見ず知らずの近くのスマホから送信されたドロップ機能のいたずらだと。
すると、またメッセージ。だれにも言うな。店から出るな。指示通りにしなければ、息子が死ぬぞ。そして、自宅の防犯カメラの映像が映る。息子のトビ―と絵本を見ているジェン。別の部屋で黒覆面の男が銃を構えている。
そしてメッセージ。目の前のデートの相手を殺せ。方法も指示される。従わなければ息子トビ―は殺される。なんとか切り抜ける方法を模索するのだが、動きは相手に逐一筒抜け。指示を出しているのは、レストランの中で彼女をさりげなく監視し、メッセージを送ってくる人物らしい。満席の店内を見渡せば、ひとりでスマホをいじっている客は多い。
謎の相手はバイオレットの現状、かつての夫の死の経緯まですべて承知している。なぜヘンリーを殺さなければならないのか。どうして自分が選ばれたのか。このデートもレストランのテーブルの位置も自宅の防犯カメラも最初から仕組まれているとすれば。
絶体絶命の窮地。はたして、うまく切り抜けられるだろうか。
DROP ドロップ/Drop
2025 アメリカ/公開2025
監督:クリストファー・ランドン
出演:メーガン・フェイヒー、ブランドン・スクレナー、バイオレット・ビーン、ジェイコブ・ロビンソン、リード・ダイアモンド、ガブリエル・ライアン、サラ・マコーマック、ジェフリー・セルフ