第720回 ペンギン・レッスン
令和七年十二月(2025)
新宿 新宿ピカデリー
見た目は地味だが個性派のスティーヴ・クーガン、真夜中の博物館のオクタヴィアヌス帝、リチャード三世の遺骨を探す女性の夫、実名でイタリア旅行、八十日間世界一周のリメイクではデヴィッド・ニーヴンが演じたフォッグ氏。どんな役でも達者にこなすが、中でも私が一番好きなのは凸凹コンビのスタン・ローレル。その他、脇役で多数出演、やはりシリアスよりコメディがうまい。
そのクーガンの主演作『ペンギン・レッスン』はベンチに座る長髪の中年男とペンギンのポスター。予備知識なく動物コメディかと思って観たら、アルゼンチンの軍事クーデターが背景の実話であった。
一九七六年、ブエノスアイレスの名門男子校にイギリス人の英語教師トムが赴任する。まず、政治的な話は授業中にいっさいしてはいけないと校長から釘を刺される。町では銃撃もあり、政情が不安定なのだ。学内に部屋を与えられるが、高齢の家政婦マリアは不親切。生徒たちは無気力そうな新任英語教師を侮り授業に集中せず、教室は騒がしい。
クーデターが激しくなり、生徒たちは一時親元に帰され休校となったので、トムは同僚と隣国ウルグアイに遊びに行き、酒場で知り合った美女と海岸を散歩していると、重油にまみれた瀕死のペンギンを見つける。ペンギンを助けるように言われて、ホテルに持ち帰り、バスルームで重油を洗い落としたが、結局、美女は姿を消し、ペンギンだけ残る。
ホテルでも税関でも咎められ、ペンギンを置いておけず、学校まで持ち帰り、仕方なくベランダで飼うことに。これがマリアやその孫で学校の雑役をしているソフィアと打ち解けるきっかけとなり、ペンギンにサルバトールと名付けて、やがて、教室で生徒たちにお披露目、授業も充実する。ペンギンは可愛く愛嬌があり、人々の心を和ませる。
だが、町を歩いていたソフィアがいきなり警察に拉致される。すぐ側で見ていたトムはなすすべもない。軍事独裁政権下では、体制に批判的な意見を持つ一般市民が次々と連行され、拷問され、殺害された。ソフィア救出のため、トムは行動できるのか。
ペンギン・レッスン/The Penguin Lessons
2024 スペイン・イギリス/公開2025
監督:ピーター・カッタネオ
出演::スティーヴ・クーガン、ヴィヴィアン・エル・ジャバー、ビョルン・グスタフソン、アルフォンシーナ・カロッチオ、ジョナサン・プライス

