第728回 ひみつのアッコちゃん
平成二十四年七月(2012)
築地 松竹試写室
私が子供の頃、好きだった漫画家は『鉄腕アトム』の手塚治虫、『ゲゲゲの鬼太郎』の水木しげる、『オバケのQ太郎』の藤子不二雄、そして『おそ松くん』の赤塚不二夫で、漫画本ではなく、どれもTVアニメーションで夢中になったのだ。だから、主題歌もほとんど憶えている。赤塚不二夫は『おそ松くん』のソノシートも持っていたし、『天才バカボン』に大笑いし、少女向き『ひみつのアッコちゃん』さえ、いつも見ていた。アッコちゃんは内容はあまり憶えていないが、水森亜土の歌うエンディング「すきすきソング」も記憶にある。なんと、作詞が山元護久と井上ひさしで作曲が小林亜星だったとは。
小学生の女の子アッコちゃんが、鏡の精から魔法の鏡をもらい、テクマクマヤコンと呪文を唱え、なりたいものを言うと、その姿に変身する魔法。一九六〇年代からTVアニメが何度もシリーズ化し、アニメの劇場版も公開され、それが二〇一二年に実写版の映画となった。
主演が綾瀬はるか。『ICHI』でリアルな冴えを見せながらも、その後の『プリンセストヨトミ』と『ホタルノヒカリ』がまったく残念だったので心配したが、アッコちゃん、外見は大人なのに中身は小学生、まさに綾瀬はるかににぴったりだったのだ。
十歳のアッコちゃんがなりたいのは「大人」の女性。お化粧するのが夢。鏡の魔力で二十歳の大学生に変身したアッコちゃんは、デパートの化粧品売り場で、メイク係にお化粧してもらい、その場にいた化粧品会社の企画開発部の社員、早瀬尚人にアルバイトに誘われ、冬休みの間、塾に行くふりをして公園の土管で大人に変身、赤塚化粧品で働く。子供の発想でいろいろと出すアイディアが認められ、新製品を開発。トム・ハンクスの『ビッグ』そのもの。
子供ながら、大人の仕事の大変さ、世の中にはいい面と悪い面の両方があることを知り、悪人一味の会社乗っ取りを変身術でなんとか防ぐ。
化粧品を愛する真面目なエリート社員の岡田将生、鏡の精の香川照之、悪重役の谷原章介、大株主のもたいまさこ、やくざの鹿賀丈史、前社長の大杉漣などなど、脇役も充実。化粧品会社の社名が赤塚化粧品というのも愛嬌である。
ひみつのアッコちゃん
2012
監督:川村泰祐
出演:綾瀬はるか、岡田将生、谷原章介、吹石一恵、塚地武雅、大杉漣、堀内敬子、内田春菊、肘井美佳、柿澤勇人、吉田里琴、もたいまさこ、鹿賀丈史、香川照之

