平成二十九年二月(2017)
京橋 テアトル試写室
アメリカの喜劇女優エイミー・シューマーといえば、なんといっても『アイ・フィール・プリティ』が最高傑作であるが、その前年に公開された『エイミー、エイミー、エイミー!』は副題が「こじらせシングルライフの抜け出し方」、現代社会の女性のエロティシズムを下ネタ満載で描き、最後はロマンチックなラブコメディで終わるとんでもない展開。
ニューヨークで暮らす雑誌記者のエイミーは三十代で独身、酒好きで男好き、都会生活を謳歌している。酒場で知り合った男とすぐに関係してしまうが、あと腐れなく一夜限りの遊びと割り切っている。なんとなく恋人として付き合っている筋肉ムキムキ男がいたが、数々の男性遍歴を知られて別れる。が、エイミーはなんの屈託も未練もない。
セックスは大好きだが恋愛にも結婚にも興味がなく、ひとりの男に縛られるなんて、まっぴら。実は幼い頃、妹とふたり、父に言われたのだ。おまえたち、人形が好きだろ。だけど好きなのがひとつとは決まっていない。可愛い人形はいくつもある。それが離婚なんだ。母と別れた父から一夫一婦制は悪だと聞かされ、一種のトラウマになっているのかもしれない。
仕事は順調で、編集会議で上司からスポーツ記事を振り当てられ、スポーツ選手専門の医者アーロンにインタビューする。そして、食事に誘われ、酒を飲み、部屋に泊まってしまう。いつも通りのパターンだが、その後もアーロンの取材が続き、記事を書きながら、誘われて食事、酒、一泊。いつしか親密な関係となり、老人ホームにいる父に紹介。妹夫婦のホームパーティにも連れて行き、周囲に公然の恋人同士と思われる。アーロンは真面目な常識人で、スポーツ選手たちにエイミーとの仲を応援され、真剣にエイミーを愛し始める。エイミーもまた、アーロンに惹かれていく。ところが、そう簡単にいかないのがエイミーたるところ。大喧嘩の末、会わなくなると、不思議と寂しくて悲しくて苦しい。この映画、女性のエロティシズムを描きながら、全然エロではない。これぞ、エイミー・シューマー。出版社の強引で横柄でケバケバした上司、なんとティルダ・スウィントンだったとは、最後まで気づかなかった。
エイミー、エイミー、エイミー!/Trainwreck
2015 アメリカ/公開2017
監督:ジャド・アパトー
出演:エイミー・シューマー、ビル・ヘイダー、ブリー・ラーソン、コリン・クイン、ジョン・シナ、ヴァネッサ・ベイアー、マイク・バービグリア、エズラ・ミラー、デイヴ・アテル、ティルダ・スウィントン、レブロン・ジェームズ

