合評会生田修平「駄菓子屋」 駄菓子屋生田修平【プロローグ】私は4人兄弟。周りも2~3人が多く、1人っ子が珍しかった1970年代。子どもは大きなマーケットだった。私の家の周辺には駄菓子屋が乱立。私にとって駄菓子屋は生活のど真ん中に位置していた。【本文】 駄菓子屋「チー店... 2025.03.09合評会
合評会堀江岳彦 かみかくし堀江岳彦 →PDF版で読みたい方はこちら 浅草田圃、田植えに備えて張られた水が春の日差しを浴びて眩しい。大川、山野堀沿い日本堤の桜は満開を迎え、市井の人々が行き交う季節となる。 明六つ、登楼客の帰りに合わせて大門前は客待ちの駕... 2025.03.08合評会
合評会左門新「佐倉の華」第二章 佐倉の華左門 新(第一章は「植疱瘡事始め」として前回合評会掲載)第二章 「帝王挙子」第一節 佐倉順天堂再訪 ときおり砂埃が舞い上がり、荷車の轍や馬の蹄の跡が走る、曲がり角の多い小径を歩いている順天堂大学病院研修医の佐藤泰三は、小石を踏みしめ... 2025.03.03合評会
合評会生田修平「入札」 入札生田修平 自社工場内の施設の発注担当者は頭を抱えた。新工場建設に梅原プラント、松原建設、竹山工務店の3社が入札したのだが、驚くことに全く同じ価格だった。加えて、技術力、品質、納期、アフターフォローについても同等である。それでもどこか一社... 2025.02.25合評会
合評会生田修平「人材難」 人材難生田修平 木下は中堅企業の人事課長だ。事業遂行のあるプロセスで「命じられたことに対して、一切疑問を抱かず、忠実に実行する人材」が急遽必要になった。いくらでもいそうな感じがするが、この人材を見つけるのは容易ではなかった。 新卒採用の面接... 2025.02.25合評会
合評会生田修平「完全犯罪」 完全犯罪生田 修平篠原は殺人の完全犯罪を企てることにした。篠原の長年のモットーは「失敗は成功の素」である。失敗事例を検証し確実な方途を見つけるのが篠原のスタンスだ。正直言って、篠原は自らアイデアを産み出すのは苦手であった。篠原自身、それは自... 2025.02.15合評会
合評会生田修平「不敬罪」 不敬罪生田修平ある熟女がスーパーボールすくいに興じていた。スーパーボールを3つすくい、4つ目で破れた。熟女は3つを手に入れた。1つは娘にあげた。もう1つは自分で持つことにした。最後の一つをビルの屋上から、街中に思いっきり投げ込んだ。そのボー... 2025.02.15合評会
合評会生田修平「なにがし」 なにがし生田修平なにがしは、名前が不明だったり、名の特定がさして重要でない場合などでよく使われる。芥川龍之介の「芋粥」に登場する五位のなにがしは「伝わる資格がない平凡な男」とのこと。化学専門商社の営業マン山田なにがしという名は親に名づけられ... 2025.02.15合評会
合評会生田修平「カンガルー」 カンガルー生田修平大阪、東淀川駅前で一杯飲み屋に入った。カウンターのみで4~5人がやっと入れる小さな店だった。奥に客が一人だけいた。茶色い毛皮のコートを着ていたが、よく見るとカンガルーだった。カンガルーは黄色い飲み物を飲んでいた。さんぴん茶... 2025.02.15合評会
合評会森田健司「泥棒の磯村さん」 泥棒の磯村さん森田 健司 一 磯村(いそむら)さんと初めて会ったのは、僕が住む街の商店街にある「たぬき屋」という定食屋だった。僕は大学に入学して以来七年、毎晩のようにこの店で夕飯を食べてきた。いろいろ注文しても千円でおつりがくる大衆的な店... 2025.02.15合評会